代替たんぱく質

菌糸体を使い18時間で肉質のある代替肉を作るMeati Foods

菌糸体ベースステーキ
  • 肉の特性を多く再現した菌糸体ベースの代替肉(ステーキ)を開発するMeati Foods
  • キノコベースではなく、キノコの根の部分にあたる菌糸体を培養し、18時間ほどで収穫可能
  • 最終的には菌糸体ベースの代替肉を消費者に直接販売(D2C)を目指す

 

3番目の代替肉

植物(プラント)ベース培養肉、動物の肉に代わる「代替肉」の登場が相次いでいます。そして、これから注目を集める代替肉は「菌糸体ベース」の代替肉です。

菌糸体ステーキサラダ出典:https://meati.com/

糸状菌(しじょうきん)の菌糸体をベースにした代替肉は、プラントベースよりも特性が肉に近く、さらに持続可能性が高い製品になる可能性があります。

コロラド州を拠点にするスタートアップMeati Foods

メディア「Veg News」によると、2021年にMeati Foodsはヴィーガン・ステーキを消費者に直接販売(D2C)することを目指していると語られています。

 

2016年に機械エンジニアJustin Whiteley(ジャスティン・ホワイトリー)と環境エンジニアのTyler Huggins(タイラー・ハギンズ)の2人よって設立されたスタートアップ。

2020年11月にシリーズA資金調達で2800万㌦(約29億円)を調達。

この資金調達より先に、2020年7月には、コロラド州のビストロで小規模な「菌糸体ベースのステーキ試食会」が行われていたということです。

 

植物ベースの代替肉との違い

ビヨンドバーガー出典:https://www.beyondmeat.com/

Beyond Meat(ビヨンドミート)やImpossible foods(インポッシブルフーズ)などは、植物(プラント)ベースの代替肉はすり身(ミンチ)製品をメインにしています。

しかし、Meati Foodsは菌糸体を使用してステーキチキンの切り身を作成しています。

Meati_Foods出典:https://meati.com/

菌糸体は「切り身の見た目がよく」と「口当たりがより肉っぽく」、プラントベースの代替肉より肉を再現しやすいという特性があるとされています。

 

菌糸体を使った代替肉は「キノコベース」と称されることもありますが、これは正しくはありません。

菌類を使用している点は同じです。ですが、菌糸体はキノコ自体ではなく、キノコになる前の段階、いわゆる「前駆体」です。

菌糸体出典:https://www.micropia.nl/en/discover/microbiology/mycelium/

バイオリアクターで菌糸体を醸造し、ステーキや鶏の胸肉のような繊維を形成。その他に野菜ベースの成分やスパイスをブレンドして、菌糸体ベースの代替肉を成形します。

創設者の2人

材料科学に特化した機械エンジニアJustin Whiteley(ジャスティン・ホワイトリー)と環境エンジニアのTyler Huggins(タイラー・ハギンズ)の2人は数多くの研究を執筆。

創設者の2人出典:Emergy Foods(https://meati.com/)

ともに再生可能なリチウム電池、木炭ベースの水ろ過システム、真菌を使用して汚染された環境を生物で修復する方法など、さまざまなトピックに関する12以上の研究を共同で執筆したということ。

その後、2016年にMeati Foodsを共同設立。

菌糸体の製造プロセス

Tyler Huggins(タイラー・ハギンズ)氏は、菌糸体ベースの代替肉の製造プロセスは世界中で使用されている従来の食品製造技術と類似点があるとコメントしています。

味噌

具体例としてあげられたのは、日本の味噌醤油

これらは大豆や米に麹カビ、糸状菌を使い発酵させて製造された食品です。これらの食品では菌類を使用して材料を発酵させ、味付けします。

 

Meati Foodsのアプローチは異なります。大きな違いは菌が発酵を進めるための「処理剤」ではなく、「製品そのもの」ということです。

味噌や酒は菌が発酵させた放出物ですが、菌糸体ベースの代替肉は菌糸体そのものが製品としての役割があります。

発酵のプロセスでは独自の方法で菌糸体を成長させ、砂糖水をエサとして供給しているということです。

バイオリアクター

バイオリアクターとして、大きなステンレス鋼の大桶(おおおけ)で培養され、収穫されます。

この収穫までに必要とされる時間が18時間ほどという非常識な短さも菌糸体ベース代替肉の特徴です。

製造プロセスを「チーズ作り」にも少し似ているとTyler Huggins(タイラー・ハギンズ)氏はコメントしているそうです。

チーズ生産

バイオリアクターや培養の必要がある部分など、まるで細胞培養肉を生産するような工程ですが、それはあくまで「表面的」ということです。

 

培養された細胞は「細胞の集まり」ですが、培養された「菌類」はそれ自体に消化器系を持っています。

この違いにより、菌類の培養は代替肉の開発以外に用途があり、広い分野で使用可能ということです。

また与えてやる炭素源、糖分の種類によって別のタンパク質を生成できるということです。

プロテイン

ドイツの菌糸体ベースのタンパク質を開発しているMushlabsは使用済みの穀物やおがくずなど農林生産産業から出る副産物を材料にして、菌糸体たんぱく質を培養しています。

この菌糸体タンパク質はアップサイクルとしての役割があり、Mushlabsは「高度に循環するプロセス」と呼称しています。

 

持続可能性が高い=菌糸体ベース>プラントベース

菌類を砂糖水で育てることができると、プラントベースの代替肉の材料となっている大豆エンドウ豆、小麦などの豆類、穀物類の生産より、必要な資源や労力が少なく済みます。

また、農作物を大量に栽培するためには広大の土地が必要です(2021年の段階では垂直農法では豆類、穀物類は栽培できない)。

農作物の収穫

しかし、菌類の培養であれば、広い土地大量肥料、除草剤、殺虫材も必要ありません。

そのため菌糸体ベースの代替肉は、プラントベースの代替肉よりも持続可能性が高いという利点があります。

 

菌糸体ベースの代替肉が普及するだけで、複数の環境問題(農業の土地問題資源枯渇廃棄物問題)を解決できる可能性があります。

Tyler Huggins(タイラー・ハギンズ)氏の理論では、コロラドにあるビール製造プロセスで出る副産物を菌類の培養に使うことを考えているそうです。

 

ビール製造の過程で大量排出されるモルトフィード仕込み麦芽粕(ばくがかす)=甘い麦汁を菌類にエサとして与えるシステムです。

麦芽粕の麦汁出典:https://www.gargery.com/

クラフトビールのサプライヤーBrewers Association(ブルワーズ・アソシエーション)は、ビール1バレル(約158㍑)あたり7バレル(約1112㍑)の水を浪費すると推定しています。

もし、この副産物を菌類に与えることができるシステムが実現されたら、菌糸体ベース製品はアップサイクル製品としての価値も高まります。

そうなれば、Brewers Associationだけでなく、各メーカーのビール醸造所はMeati Foodsを必要するでしょう

シリーズAラウンド資金調達

2020年11月、サンタモニカを拠点とするAcre Venture Partnersが主導した資金調達では、既存の投資家のPrelude VenturesVC Congruent Venturestech VC Congruent VenturesおよびTao Capitalが参加。

 

オーガニック子ども用スナックブランドOnce Upon A Farmの創設者兼CEOのJohn Foraker

Sweet greenの共同創設者兼CEOであるNicolas JammetJonathan Nemanもこのラウンドに参加しnderNews)のNewsよると、資金調達の段階ではMeati Foodsはまだ研究開発段階とました。

この資金調達Meati Foodsの2800万ドル(約29億円)を調達。

メディアAFN(AgFuいうことで、6カ月間は製造プロセスと製品提供の改善に時間を費やすとされています。

 

2021年2月の段階では、具体的な菌糸体ベースのステーキの販売時期などは未発表となっています。

ですが、高級レストラン菌糸体ベースのステーキを提供して、ブランドを構築、サプライチェーンの立ち上げを計画していることです。

高級レストラン

 

菌糸体ベースのステーキ

Meati Foodsが使っている菌の名称や培養方法について公表はされていません。

ですが、菌糸体ベースのタンパク質には肉のような特徴を持ち、口当たりや食感が肉に近いと言われています。

meati-foods-steaks出典:https://meati.com/

グリルで焼いたのような食感と香り豊かな味わいで、大豆たんぱく質を主原料にするプラントベースの代替肉のような「スポンジ状ではなかった」と、試食をした記者はコメントしています。

そのような特性繊維構造を持っているものの、すべて特徴が代替肉に向いているわけではありません。

彼らが直面している問題は菌糸体ベースのタンパク質の「味」です。

プラントベースのタンパク質はさまざまな分子成分に分解され、成分の分離、強調させることが容易ということです。ですが、菌糸体には、ほとんど味がなく、風味も少ないことが多いそうです。

菌糸体のかたまり出典:https://ecovativedesign.com/

Tyler Huggins(タイラー・ハギンズ)氏はこの問題に対して、最終的には発酵プロセスを通じて、多くの風味を与える可能性について語っています。

現状では、さまざまな野菜やスパイスを使って風味を作り出しているということ。

完成予定の製品は5つ未満の機能性成分が含まれ、菌糸体90パーセント10パーセントの他の成分をブレンドする予定ということです。

菌糸体ベースステーキ出典:https://meati.com/

プラントベースの代替肉より、さらに持続可能性が高い菌糸体ベースの代替肉

18時間で収穫可能になる短時間と、より「」の再現性が高い代替肉に期待が集まっています。

2021年2月の段階では、Meati Foodsから製品について情報はメディアで取り上げられていません。

おそらく菌糸体ベースの代替肉を消費者に直接販売のため、生産を増やし、チームを拡大しているはずです。

次にメディアに情報が出てくるときは製品の詳細販売時期がはっきりすると思われます。

 

参 考

企業HP

https://meati.com/

メディア情報

https://agfundernews.com/meati-secures-28-million-for-whole-cut-alternative-meats.html

https://thecounter.org/move-over-plant-based-meat-fungi-steaks-are-here/

https://thespoon.tech/i-tried-meati-foods-mycelium-based-steak-it-was-definitely-meaty/

https://vegnews.com/2020/11/colorado-startup-raises-28-million-to-get-its-vegan-steaks-to-market

https://companyweek.com/article/meati-foods

https://www.greenqueen.com.hk/mushroom-steak-meati-foods-raises-us28m-series-a-round-for-its-fungi-based-whole-cut-meats/

ABOUT ME
Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで毎日配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボ・アグリテックなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎帰国▶︎外資系倉庫型小売店▶︎パラレルワーカー