- 藻類はインク、脂肪分、代替ミルク、代替肉、代替シーフードなど数多くの製品材料となっている
- 藻類にはバクテリア、海藻を含め、広いくくりで単細胞生物、多細胞生物も含まれて扱われることが多い
- 他の材料を組み合わせて使われる
藻類の用途の広さ
藻類(そうるい)にそんな使い方があったのか!と驚くような研究やそれを製品化するスタートアップ企業が増えています。
藻類はバクテリア、海藻を含め、そのカテゴリーのなかには単細胞生物、多細胞生物の両方が分類されており広いくくりで、扱われるものが多い。
そこから作り出されるものも食べ物だけとは限らず、インク、脂肪分、代替ミルク、代替肉、シーフードという“なんでも作れてしまう”という印象すら受けます。
藻類(そうるい)の持つ可能性を大きく、広げたフードテック企業、スタートアップ企業をまとめました。
企業紹介
1.藻類ヘム Algae Heme
Back of the Yards Algae Sciences (BYAS)
シカゴ拠点のBack of the Yards Algae Sciences (BYAS)は、藻類を利用してヘムを作成ました。
これは植物ベースの代替肉を開発しているImpossible Foodsの有名な「出血」するビーフパティを作るために使用している分子です。
まだベータ版ということですが、BYASが開発した藻類ヘムは完全にGMO(遺伝組替え不使用)、藻類のスピルリナを使用して作成しているということです。
使用する食品に健康的な栄養を追加し、植物ベースの肉の味、食感を改善する重要な要素としてテストされています。
Beyond Meatの「ヘムを使用した製品」と「従来の製品」で比較が行われた際に、ヘムを使用した植物ベースの代替肉は、食べた後の味をより「肉」に近づけているという評価をつけたと言われています。
2.藻類のTシャツ
イギリスのアパレルブランドVollebakは、バイオリアクターで育てた藻類とブナ、ユーカリのパルプを材料にTシャツを生産しています。
藻類を顔料として使用し、3Dプリントで印刷されたデザインは時間の経過とともに脱色。
VollebakのTシャツは使い終わったら、地面に埋めると12週間で土に還る自然分解性の素材となっていて、環境負荷の少ないアパレルとなっています。
アパレル産業の廃棄物は世界で9,200万トンであると報告され、多くのアパレルでは自然環境に負荷のかかる染料を使用しており、その生産と使用は自然環境に対してダメージを負わせて続けていると言っていいでしょう。
3.藻類代替ミルク
フランスのスタートアップUpdate Foodsは虐待がないビーガンミルクを生産しています。
その材料はソラマメと藻類から抽出された油を使用。牛乳と比べて飽和脂肪とナトリウムが少なく、マグネシウムが24%多く、鉄分が3,000%多く含まれているという優れもののビーガンミルクです。
まだ商業ベースで販売を行ってはいないですが、2021年の第1四半期までに商業的な販売を開始、フライスから初めて、イギリス、ドイツと販売を拡大していく予定ということです。
4.藻類代替チキン
Naka Foodsは藻類のスピルリナを材料にエナジーバーを生産しているインドのスタートアップ企業です。そして、エナジーバー次の製品を開発中。それがスピルリナ、ジャックフルーツ、ひよこ豆を原料にした代替鶏肉です。
材料にジャックフルーツを選んだのは、海外からの輸入品を材料にするのではなく、地元のインド農家の収入を上げることに繋がるという考えからです。
加えて、抗酸化物質が豊富なスピルリナは、血糖値のバランスを保つのに役立つことが証明されており、食べる人の生活習慣病の予防などの健康面を考慮して製品開発をしています。
5.藻類代替エビ
2015年に設立されたNew Wave Foodsは海藻と非遺伝操作の植物タンパク質から「区別のつかない」植物ベースの代替エビを開発しました。
2021年の1月6日に1800万㌦の資金調達を完了して、市場に植物ベースの代替エビを投入する準備を始めています。
詳しい海藻や材料は未公表となっていますが、今後は代替エビに続き、ロブスターやホタテ、カニの代替品を作ることを計画しています。
参 考