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フィンランド気候基金の最初の投資先は、空気たんぱく質を作るSolar Foods

  • フィンランド気候基金は創設から最初の投資先をSolar Foodsに決定
  • Solar Foodsは2023年に世界初の空気から作ったタンパク質の製造施設を操業予定
  • 製造施設には試食可能なフードバーを備え、デモンストレーションを体験できる

フィンランド気候基金の最初の投資先

2021年4月8日、フィンランド国営企業「フィンランド気候基金(Finnish Climate Fund)」は、創設から初の投資を発表

フィンランド気候基金Image Source:https://www.ilmastorahasto.fi/en/

その投資先となったのが、フィンランドで空気と電気、微生物を使い代替タンパク質を作るSolar Foods(ソーラーフーズ)

フィンランド気候基金は、気候変動への対応、低炭素産業の促進、デジタル化の促進に重点を置く企業へ、プロジェクト実現やスケールアップを支援。

Solar Foodsに1000万ユーロ(約13億円)の資金融資を行うことを発表しました。

2023年初頭にSolar Foodsは、空気タンパク質「ソレイン」を材料にした製造施設の操業を予定

ソレイン製造Image Source:https://solarfoods.fi/

予定通りに操業すると、世界初の“空気から作られたタンパク質を原料にした食品”の販売が実現します。

Solar Foodsの空気タンパク質「ソレイン(Solein)」

フィンランドのヘルシンキ拠点のスタートアップ企業Solar Foods(ソーラーフーズ)CEOの Dr. Pasi Vainikkaは今回の融資で、「合計の資金調達額が3500万ユーロとなった」とメディア「Food Ingredient First」のインタヴューで語っています。

ソーラーフーズ創設者博士ソーラーフーズの創設者:Dr. Pasi Vainikka (Image Source:https://solarfoods.fi/)

生産されるソレインの特徴は、従来の食品のような気候、土地、水などの環境の影響を受けずに生産可能であること。材料は空気と電気、微生物。

このような特徴からソレイン生産によって、食料生産のときに発生するCO2の削減の役立つと期待されています。

ソレイン生産で排出されるCO2は、植物性タンパク質(大豆やエンドウ豆)生産の約20%、家畜などの食肉生産の約1%で済むとされており、ソレインを材料にした食品製造によって、大幅なCO2排出削減が期待できます(世界の食品生産で排出されるCO2は、150億トンと推定される)。

加えて、Solar Foodsのプレス発表では、ソレイン生産には広大な土地が必要ないことが持続可能性へ貢献できる特性であると述べています。

広大な土地

それによると、土地利用が少ないことから、従来の農業で発生するような、土壌貧困(過剰な作物生産で土壌の栄養が枯渇)、生物多様性への悪影響、水質の汚染(農薬、化学肥料の使用による)が回避できる。

発展途上国で増加する人口の食糧確保ため、農地の拡大と森林伐採、水質の悪化がセットになっており、食料確保と同時に環境負荷の軽減でもソレイン生産が有効とされる。

農薬散布

ソレイン生産システムが外界とは独立していることから、Solar Foodsは将来的には砂漠、北極圏、宇宙でも食料生産が可能であると述べています。




2023年に操業を開始するハブ

ソレインは現在商業化の段階にあるとメディア「The Spoon」はコメントしています。

2023年に操業が予定されている試験製造施設の建造に、今回のフィンランド気候基金の融資は使用されるということです。

この製造施設はただの“工場”の機能だけでなく、ソレインベースの食品を試食できる「ソレインエクスペリエンスハブ」や「フューチャーフードバー」などのデモンストレーションの場が併設。

ソレインフードImage Source:https://solarfoods.fi/

創設者のVainikka博士は生産設備について次のように述べています。

“生産設備の詳細な計画はすでにありますが、建設が始まる年末に向けて詳細を開示する予定です。”

また、EU内で食品として承認されるためには、デモから2年後で規制当局より承認が得られる希望を持っていることをコメントしています。

メディア「The Spoon」は、増えていく人口増加に関して、メリットが1つあると記事にしています。

“全員が呼吸することです。つまり、全員が二酸化炭素を生成します。常にタンパク質の供給源があります”

ソレイン生産で必要になる二酸化炭素を人が供給するようになると、人は自然環境に依存することなく、食料を生産できるようになる…。

地球からの自立

もし、それが可能となったら人は動物として、初めて自然から自立できたと言えるかもしれません。

参 考

メディア情報

メディア「Climate-funds」のNews

https://www.ilmastorahasto.fi/en/finnish-climate-funds-first-investment-target-solar-foods-strives-to-achieve-significant-emissions-reductions-in-food-production/

メディア「Food Ingredients First」

https://www.foodingredientsfirst.com/news/solar-foods-ceo-says-now-is-the-time-to-make-it-work-after-netting-%E2%82%AC35m-in-funding-for-air-based-protein.html

メディア「Solar foodsの自社Press発表」

https://solarfoods.fi/our-news/solar-foods-accelerates-production-of-climate-friendly-protein-with-investment-from-the-finnish-climate-fund/

メディア「The Spoon」

https://thespoon.tech/solar-foods-receives-e10m-to-scale-production-of-its-protein-made-out-of-air/

メディア「The Spoon」

https://thespoon.tech/something-in-the-air-protein-these-days/

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Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎外資系倉庫型小売店▶︎2021年Webライター