- 独自のプラットフォーム「opti-ox」は、費用効果が高く、スケールアップ可能な生産プロセス
- オランダのスタートアップ企業Meatableは、2025年に商業的な製品をリリース予定
- 細胞培養肉の市場は一兆㌦の価値があると予測される
新しい資金で細胞培養肉のプロトタイプと小規模生産を
2021年3月23日、オランダの細胞培養肉のスタートアップ企業Meatableは、資金調達シリーズAラウンドで4700万㌦の資金を集めたと発表。同社の総資金は約6000万㌦となりました。

今回の資金調達で、プロトタイプ製品と小規模生産を促進し、自社製品のポートフォリオの多様化を目指すとプレス発表しています。
このスタートアップ企業を、アメリカ国立がん研究所の元所長、ビル&メリンダゲイツ財団のグローバルヘルス元事務局長のリッククラウスナー博士が支援しています。
博士はMeatableの独自技術「opti-ox(特許取得済み)」が気候変動へ与えるプラスの効果に可能性を見出し、資金調達にも参加。

「opti-ox」の拡張性と細胞培養肉市場への製品投入スピードの課題を解決するMeatableに注目しています。
Meatableの独自のプラットフォームは、費用効果が高く、スケールアップ可能な生産プロセス。
脂肪と筋肉の成長で自然なプロセスを再現して、今までの家畜肉の切り身のような「肉」を作るということです。
このプロセスが完成したら、細胞培養肉を生産するのに数週間しかかからないと予想されており、従来の家畜のような半年や数年の時間をかけなくとも、食肉生産が可能になります。
コストは年々下落
2015年に行ったマッキンゼーの細胞培養肉に対するコスト分析では、2013年に初めて実験室で培養されたハンバーガーの価格は32万5000㌦(約3500万円)。

そこから2年ほどで11ドルにコストは下がり、2020年には約2.30㌦~4.50㌦と予測がされていました(2021年3月現在では、ここまで安くはなっていません)。
ですが、従来の家畜の肉に取って代わるには最適のポジションにあると分析。

そして、細胞培養の市場は1兆㌦(約110兆円)の価値が試算されており、肉の需要(家畜食肉・細胞培養肉問わず)は2%ずつ増え続けると予想されています。
人は肉好きであると言う創設者

2018年にMeatable は、Krijnde Nood、Daan Luining、Mark Kotterの3人が創設者とよって設立。
設立者の1人Krijn de Noodは、マッキンゼーの戦略コンサルタントのキャリアを持ち、ブログ記事で「人々は肉好きである」ことを主張。
そして、世界の肉好きな人たちに気候変動を起こさず、動物福祉に反しない肉を提供しようとしていることを幸運であると語っています。
2019年12月にシードラウンドの資金調達で1000万㌦調達。
2020年に最初の見本となる細胞培養肉を発表。
2021年3月23日、今回の資金調達シリーズAラウンドで4700万㌦を調達したと発表。
このラウンドには、参加したのはセクション32、DSMベンチャー、リッククラウスナー博士、ジェフリーライデン博士など、ライフサイエンスや食品投資家が含まれています。
Meatableの独自技術「opti-ox(特許取得済み)」の主な発明者は創設者の1人Mark Kotter博士よって発明。
この技術で、多くの細胞培養肉のスタートアップ企業が目指す1兆㌦の市場に早期参入を果たす計画です。

自社サイトのプレス発表では、2025年に最初の商業的な製品リリースが予定されています。
現在のところは「細胞培養した牛肉」の開発に注力していますが、最初の製品が完成した後は、豚、羊、魚など種類の異なる細胞培養がopti-oxでは可能であるとしています。
参 考
企業HP
メディア情報
メディア「Business Wire」 2020年3月23日
自社サイト プレス発表 2021年3月
https://www.meatable.com/news-room/news-releases/#articles
自社ブログ記事 2020年8月
https://www.meatable.com/news-room/blogs/#articles
自社サイト プレス発表2019年12月6日
https://www.meatable.com/news-room/news-releases/#articles
MeatableのCEO:Krijn de Noodブログ記事「Mdium」 2019年12月
https://medium.com/@meatable/the-new-natural-ab8c7e9113dc