代替たんぱく質

Redefine Meatが3Dプリント肉を販売業者を通じてレストランと肉屋に流通させる

  • 試食会は当初の見込みより大幅な高評価で、1000食近くを5時間で売り切った
  • 3Dプリントで代替肉を生産するというのが定着し始めている
  • 2021年第1四半期の期間中に3Dプリントされた代替肉がレストランや肉屋に流通する予定

3Dプリントの代替肉がイスラエル外食産業に供給される※Webページからも音声はご視聴いただけます。

試食会は5時間で完売

イスラエルの植物原料から3Dプリント肉を生産するRedefine Meatは食肉販売業者であるBest Meister提携を発表しました。

発表内容では、2021年第1四半期の期間中に3Dプリントされた代替肉をBest Meisterを通じて、レストランや肉屋に流通させる予定ということです。

3Dプリントステーキ出典:https://www.redefinemeat.com/

Redefine Meat3Dプリント代替肉が大規模にテストされる機会となります。

すでに両社はイスラエル、テルアビブ郊外のキドロンでキッチントラックを使い、小さな試食会を開催。

600人以上の人が詰めかけ、1000食近くを提供し5時間で売切れという結果となりました。

このイベントの収益は全て、コロナ大流行で影響を受けた飲食店支援に寄付されたということです。

3Dプリントで代替肉生産は珍しくなくなった

3Dプリンターで食べ物を作るというアイディアに注目が集まったのは2013年。NASAが3Dフードプリンターを開発する企業に多額の助成金を出したことがきっかけでした。

食べ物をプリントアウトする技術」が宇宙空間の長期滞在に役立つと考えられたためです(参考文献1)。

宇宙での食事

3Dフードプリンターの特徴は食べ物を立体的にプリントすることと、多種多様な構造の食べ物をつくり出せる可能性。そこに世界のフードテック企業が注目し、製品開発を加速させています。

3Dフードプリンターの代替肉作成で注目を集めたのはスペインのNova Meat。この企業は「大豆と藻」を組み合わせて、3Dプリンターの材料にして植物ベースの代替肉を開発。

Nova Meatのプリントミート出典:https://www.novameat.com/

Redefine Meatと同じくイスラエル企業のSavorEatは「調理済み」の植物ベースの代替肉をプリントアウトする技術を開発。2020年11月25日にIPO(新規公開株)を行っています。

日本でもネクストミーツが3Dプリントで代替肉の開発を進めており、代替肉を生産する1つの手段として確立してきています。

2021年の第1四半期中にAlt-Meat市場に投入

Redefine Meatが開発した3D代替肉の製品名は「Alt-Meat」。作成にはAlt-MuscleAlt-FatAlt-Bloodと呼ばれる3つコンポーネント(構成要素)を使い、3Dプリント代替肉は作れられます。

この3つを組み合わせ、筋肉や肉の構造を作成し、牛肉、豚肉、ラム肉などの肉を開発、生産できるという。

ブラインド・テイストテストではRedefine Meatの予想を上回り、動物肉とAlt-Meatの区別がつかず、90%の消費者が3Dプリントの代替肉の受け入れるという結果なった。この結果からRedefine Meatは今回の提携に踏み切ったということです。

3D-printed meat出典:https://www.redefinemeat.com/

開催された試食会では、代替肉は最小限の調味料とトッピングで料理され提供。この試験販売でRedefine Meatは消費者から貴重なフィードバックを得る機会となりました。

口当たり、食感などが従来の動物肉に匹敵しているとされ、当初の見込みとは異なる結果になったということです。

3D-Printed Meat出典:https://www.redefinemeat.com/

Redefine MeatのCEO兼共同創設者であるEshcharBen-Shitritはこの試食会について次のようにコメントをしています。

当初、イベントとして1日100人の訪問者しか期待していませんでした。 COVID-19の制限により小さな村で開催されましたが、口コミで1日600人以上のお客様が訪れ、50分待ちの行列になりました。これは、肉愛好家が私たちの代替品を楽しむことができることを示しています。

 

Redefine Meatは特許取得済みの3Dプリント技術で今年中に1時間に44ポンド(約23kg)をプリントする新世代の3Dフードプリンターをリリースする予定

3Dプリンター出典:https://www.redefinemeat.com/

試食会の成功はRedefine MeatBest Meisterの提携をより強力なものにしたと言って良いでしょう

Best Meisterを通じてAlt-Meat 製品がイスラエルのレストランや肉屋に流通して、まだあまり知名度がない3Dプリント代替肉の普及と認知が進むはずです。

参 考

参考文献1:「食べること」の進化史~培養肉・昆虫食・3Dフードプリンタ~ (光文社新書)

https://thespoon.tech/redefine-meat-announces-distribution-of-3d-printed-meat-through-israeli-meat-distributor/

https://www.prnewswire.com/il/news-releases/redefine-meat-teams-up-with-israeli-meat-distributor-best-meister-to-pull-off-worlds-largest-carnivore-targeted-blind-tasting-of-alternative-meat-301211859.html

https://www.businessinsider.com.au/redefine-meat-3d-printed-plant-based-faux-steaks-in-photos-2020-9

https://vegconomist.com/trade/israel-savoreat-secures-4-75m-to-develop-new-generation-of-meat-alternatives/

https://www.ssnp.co.jp/news/soy/2020/11/2020-1106-1524-14.html

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Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎外資系倉庫型小売店▶︎2021年Webライター