- 今までの乳製品アイスクリームと見分けがつかないという評判
- アレルギー成分を含まない植物ベース代替アイスクリームの開発に成功
- 設立者が代替たんぱく質の専門家
- いくつかの企業と提携、コラボメニューを展開
- 数分経っても溶けないアイスクリームという意見もあり
概 略
植物を素材にして独自製法で代替ミルクを作り、植物性の代替アイスクリームを開発したベンチャー企業Eclipse Foodsを解説。
創設者の2人は代替タンパクに関してはエキスパートという組み合わせ。
設立1年で他のアイスクリーム企業と提携して、ヴィーガンアイスクリームとして製品を展開。
Eclipse Foods(エクリプス・フーズ)
2019年1月にAylonSteinhartとThomasBowmanの2人に共同設立。
同年5月にシード資金調達で15万ドル(約1500万円)をベンチャーキャピタル企業Aera VCとY Combinatorから資金を調達。
創設者の2人は代替タンパク質専門家
AylonSteinhartは代替タンパク質業界のエキスパート。植物ベースの分野で世界的に有名な非営利団体グッドフードインスティテュートに在籍。
ハーバード、MIT、エール大学などの会議や大学の食品イノベーションについて講演した経験を持つ。
Thomas Bowmanは、ミシュラン星を獲得したレストランのシェフを務めた後、JUST社の製品開発ディレクター、植物ベースの代替食品の開発、販促のキャリアを持つ。
Eclipse設立支援者
- Redditの共同創設者のAlexisOhanian。
- Gmailの作成者Paul Buchheit
- Dreyerの前会長Eric Patel
Eclipseの植物ベース代替アイスクリーム
Eclipseは植物素材をメインに独自のブレンドを行い、分子レベルで牛乳を複製。従来の乳製品と同じ味、風味、機能性を追求。植物性で牛乳と見分けがつかないミルクを開発。同社は特許出願中。
動物性を取り除いているため、家畜産業による資源の大量消費や土地、水の問題がなく、持続可能性が高いとされている。
主原料はオート麦、とうもろこし、ジャガイモ、キャッサバ、有機サトウキビ、非GMOカノーラオイル。ナッツ・大豆不使用、遺伝子組み換えを使用していないため、アレルギー成分を含まず、優れた代替食と言えます。
加えて、原料に使用している素材が低コストであるため、企業活動のスケールアップに多額の資本が必要ないという利点もあります。
最高経営責任者のAylonSteinhartは
「私たちは、目標達成のために高価なバイオテクノロジーを使用していません。」「私たちは植物を使い、機能的に植物タンパク質に関する世界クラスの専門知識と、非常に簡単な方法で植物をブレンドする方法を使用しています。」
引用抜粋:https://techcrunch.com/2019/11/07/plant-based-dairy-replacements-are-coming-to-ice-cream-pints-in-san-francisco-and-new-york/
と述べています。
Eclipseは最初の製品をアイスクリームとしてリリースしましたが、ベースとなる植物性の代替ミルクは、牛乳と同じ機能性を持たせているため、チーズやバター、クリームの代替食品の素材として使えます。
他社との提携
2019年、アイスクリームブランドHumphry SlocombeとOddfellowsの2社がラインナップにEclipseFoodsの植物ベースのアイスクリームを取り入れる契約を結びます。
2020年の7月に有名なシェフと限定コラボレーションシリーズを発表、夏の期間中の収益を慈善団体に寄付しています。
ヴィーガンメディア「green queen」によると2020年11月26日にEclipseFoodsがシリーズAの資金調達で1200万ドル(約12億円)調達したとしています。
また独自チャンネル(D2C)で販売網の構築(11月30日販売開始)を開始。
新しい資金でチーズやクリーム、ヨーグルトの味を再現した植物ベースの代替食品を開発、分野の拡大を計画するとのことです。
投資家たちの関心の集まる代替アイスクリーム業界で、存在感のあるフードテック企業は他にもあります。
元ネスレディレクターグループが支援するスペインのスタートアップ企業ピンクアルバトロス。
発酵技術を用いて乳タンパク質を作成して、牛に頼らずにアイスクリームを作ったフードテック企業パーフェクトデイ。今年初めに記録的な資金調達3億ドルを記録。
実際の感想
今までのアイスクリームと見分けがつかないという評価のあるEclipseのアイスクリーム。
Humphry Slocombeでコラボメニューを食べたレポーターのMadeline Wellsは実際に食べた感想を次のようにまとめています。
“確かに、本物のように見えましたが、質感はネバネバしたグミでした。アイスクリームというよりクッキー生地のようなものです。本物のアイスクリームは数分後に溶け始め、スプーンから滑り落ちてクリーミーな美味しさのプールになりますが、Eclipse Foodはアイスクリームですか?数分間溶かした後、激しく振ったにもかかわらず、スプーンにしっかりとくっついていました”
tried the new plant-based ice cream at humphry slocombe and… i don’t think ice cream is supposed to do this pic.twitter.com/OJOb6YIsXY
— madeline wells (@madwells22) November 8, 2019
まとめ
今までの乳製品アイスクリームと「区別がつかない」という評判がつくほどの植物ベースのアイスクリームを開発した企業Eclipse。
原料のこだわりや規模拡大を考えた創設者の視野の広さ。この企業の支援者たちの期待値の高さが伺えます。
とはいえ、まだまだ製品そのものに改善の必要があるようで、辛口な評価も。
今後、もっとリアルな「見分けのつかない」植物性ベースの代替アイスクリームの登場が待たれます。
しかし、わずか1年ちょっとで他のアイスクリーム企業と提携できるまでに至る成長スピードは凄まじい。
参考
https://www.crunchbase.com/organization/eclipse-foods/signals_and_news
アイキャッチ画像出典:https://www.eclipsefoods.com/