代替たんぱく質

代替たんぱく質の幅を広げるコオロギの昆虫食を開発したフードテック企業:Cricket One

  • ベトナムのスタートアップ企業がコオロギを代替たんぱく質として開発
  • プロテインパウダーでハンバーグなどの商品を開発、市場に展開予定
  • 製品化のための資金調達完了(額は未公表)
  • ヨーロッパで動物タンパクから植物ベースの代替食へ移行が進んでいるが、昆虫食に関しては否定的

概 略

コオロギを主原料にしたプロテインパウダー、ワックスを専門とするスタートアップ企業Cricket One(クリケットワン)。

家畜による動物性たんぱく質の代わりとなる代替たんぱく質として、自社製品を市場に広げようと計画のために資金を調達。

近いうちに代替たんぱく質の食品の中にコオロギが含まれるかもしれない。とても興味深いベトナムのフードテック企業を紹介。

コオロギプロテインパウダー出典:https://cricketone.asia/

虫を食べる?

歴史の中では虫を食べるのは珍しいことではない。中国ではシロアリの卵を料理して客人をもてなしたり、古代ローマではセミなどを食べていたという記録もある。

大航海時代にはイギリスの船乗りはゴキブリをペーストにしてパンに塗って食べていたという。

日本で「アブラゼミ」と呼ばれるセミの名前の由来は、油で揚げて食べていたからという説もあるくらい。

現在でもタイ、ミャンマー、カンボジアでは虫は栄養源として重宝されている。

昆虫食コオロギ出典:SadiaK123によるPixabay

昆虫が代替たんぱく質になるのか?

昆虫の栄養価について、昆虫の血液に含まれるタンパク質(アミノ酸)は哺乳動物の肉のタンパク質のアミノ酸構成に似ている、昆虫の血糖はトレハロースであり栄養価が高い、昆虫の脂肪は現代人が日常的に食べる油に近い、昆虫はヒトが必要とするビタミンのほとんどが含まれる、ミネラルが含まれるといったことが判明している。加熱することで雑菌等の問題もなくなるので、食品としての摂取にはなんら問題はない。

抜粋引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%86%E8%99%AB%E9%A3%9F

どう食べる?

Cricket Oneはプロテインパウダーをハンバーガーパティにして展開することを予定。コオロギを食べることになれていない消費者になじみのある食品にすることで抵抗感を下げることが目的。

クリケットバーガーパティをさらに肉らしくするために、Cricket Oneは昆虫食の苦情になりやすい「ザラザラ感」を減らす工夫した。コオロギの外骨格を取りのぞき、より柔らかい肉のような食感になるようにした。

普通のハンバーガー?出典:takedahrsによるPixabay

同社はこの独自の代替肉製法はクリケットバーガーパティだけでなく、ソーセージやほかの用途にも使用できるとしている。

今後、アメリカを含めた国にクリケットバーガーを販売予定だが、国によって規制が異なるため、それに合わせた対策が必要になる。

ベトナム製の冷凍パティにするのが合理的なのか、地元企業にライセンスを提供するほうが合理的なのか、国ごとに事情は異なる。

代替タンパククリケットバーガー出典:Primal FutureによるPixabayからの画像

昆虫食は持続可能性が高い

昆虫食の持続可能性については「かなり高い」と言える。Cricket Oneでは28日間で自然に成熟。1kgを生産するのに必要な水は2ℓ、飼料は1.5kgと破格の低コストを誇っている。また生産に必要な土地も少ない。

この持続可能性について、Cricket Oneに2019年10月に投資をしている投資企業Masik EnterpriseディレクターであるMikhailZeldovich氏は次のように述べている。

“実際、1ヘクタールあたり年間250トン以上の純粋なタンパク質を生産できるため、有名なインポッシブルバーガーで大豆を栽培するよりも約50倍生産性が高くなります”

引用抜粋:https://www.crunchbase.com/organization/cricket-one-asia/signals_and_news

事実として、東南アジアの20億人の人口は昆虫食を主なたんぱく質としている。今後の人口増加と食糧問題解決策としても注目されている。

フードテックメディアTheSpoonによると、2020年11月22日にCricket Oneが追加で資金調達を行ったとしている。主な調達先はシンガポールを拠点とするCorecam Partners

金額ついては未公表だが、Corecam Partnersは100万ドル以下の投資は行わないとしている。

ヨーロッパの市場調査では…

持続可能性の高さ、代替たんぱく質として期待がされているコオロギ製品ですが、ヨーロッパの市場調査では昆虫食に対して、抵抗感を持つ人が多いことが数値で分かっています。

ドイツ、ベルリン拠点のVeganzがヨーロッパの買い物客に調査をした結果、73.1%のヨーロッパ人は昆虫を食べることを控えると答えています。

昆虫食ムリ出典::https://veganz.com/blog/veganz-nutrition-study-2020/

まとめ

破格のコスパを誇るコオロギプロテイン製品。来年にはアメリカや他の国でどのような反応があるのか公開されるのではないでしょうか。

少なくとも、今も日常的に昆虫を食べている東南アジアでは人気がありそう。

無印良品もコオロギせんべいを販売していることを考えると、日本でも広まる可能性はある。

そのうちにコオロギを見て、食欲がわく…そんな日がくるかもしれません。

寿司を握っていた私の意見としては…生きているシャコやエビ見て、食欲がわく人はコオロギもおいしく頂けると思う。

参考

https://thespoon.tech/cricket-one-announces-new-funding-as-it-rolls-out-cricket-based-burger-patty/

https://thebridge.jp/2019/10/cricket-one-seed-funding-500-startups-masik

https://e27.co/vietnam-based-cricket-protein-startup-cricket-one-secures-funding-from-500-startups-masik-enterprises-bringing-sustainable-alternative-to-beef-chicken-20191014/

https://veganz.com/blog/veganz-nutrition-study-2020/

https://blog.bugsfarm.jp/2019/09/26/%E6%9C%AC%E7%89%A9%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%8A%E9%A3%9F%EF%BC%81%E3%82%B4%E3%82%AD%E3%83%96%E3%83%AA%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E8%99%AB%E3%81%AE%E8%89%AF%E3%81%84%E8%A9%B1/

https://www.crunchbase.com/organization/cricket-one-asia/signals_and_news

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Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎外資系倉庫型小売店▶︎2021年Webライター