- 2020年12月に160万ポンドのシード資金を調達
- 酵母発酵と生物学を利用して乳タンパク質を作成
- BetterDairyは最初のラボサンプルを作成成功
- 従来の乳製品と同等の価格にするために製造力の拡大
イギリス初のアニマルフリー乳タンパク質製造企業
ロンドンを拠点にするBetterDairyは160万ポンド(約2.2億円)のシード資金調達を発表。動物を使わずに分子的に従来の乳製品と同一の製品を開発、研究しているスタートアップ企業。
代替たんぱく質を作る方法として、次に注目されている「発酵技術」。BetterDairyはこの技術で環境負荷の大きい畜産に頼った乳製品から、持続可能性に優れた乳製品を開発、生産しようとしています。
植物性の代替乳製品では不足
乳製品の代替品として植物性のミルク、ヨーグルト、アイスクリームなどが市場出ており、その売上規模は年間16億ドル(約1600億円)といわれている。
しかし、動物から生産される乳製品とは異なる点が多く、栄養面や特性が動物性のものに比べると不十分であるという認識があります。
BetterDairyのCEO:JevanNagarajahは“植物性代替品は人気があるが、完全な解決策ではない”という意見を持っている。
また、動物ベースの酪農は「非常に持続不可能である」と言っている。1㍑の牛乳を生産するのに、650㍑の水が必要だと指摘。
スタートアップ BetterDairy
2020年1月に設立したばかりのフードテック企業
設立者はJevan NagarajahとDr. Christopher Reynoldsの2人。
ともにインペリアルカレッジロンドンの卒業生で起業家ファーストインキュベータープログラムを経て、立上げの融資を受けている。
Jevan Nagarajahはテクノロジーのキャリア持ち、初期のゴーストキッチン企業ShareDiningの立ち上げの経験を持つ。
Dr. Christopher Reynoldsは自然科学の学位とバイオインフォマティクスと合成化学の博士号を取得。
生命科学と情報科学の融合分野。膨大なデータを含んでいる生命現象に情報科学や統計学をなどのアルゴリズムを用いて解き明かす学問
彼らはビール醸造を似たプロセスで乳タンパク質を作成すると説明。酵母と生物学を利用して、動物性の乳タンパク質と分子的に同じものを作成して、乳製品を作る。
BetterDairyはまだ大規模な生産体制は整っておらず、ラボでサンプルを作成した段階。12月の資金調達で2022年初頭までに最初の商品化をすることを目指している。
大きな課題は従来の乳製品との価格差を埋めるために製造能力の向上であるとJevan Nagarajah氏は語っている。
「発酵技術」を使い代替タンパク質を作る企業の資金調達が活発化しており、すでに商品化に成功したアメリカのPerfectday。1130万ドル(約11億円)の資金調達をしたイスラエルのRemilk、地底温泉の細菌を使いたんぱく質を作るNature’s Fyndなど、次の代替たんぱく質を作るフードテック企業が基礎研究を加速させている。
まとめ
植物ベースの代替肉と培養肉がフードテックのニュースでは有名ですが、来年以降にはさらに注目を集めるのが「発酵技術」を使った乳タンパク質。
BetterDairyがイギリス最初の非動物性の乳製品フードテック企業になれるか。ヨーロッパで存在感を持つ企業になれるかが楽しみです。今後もこの企業の情報が公開され次第記事にしていきます。
参 考
https://thespoon.tech/better-dairy-raises-1-6m-for-animal-free-dairy-production/
https://techcrunch.com/2020/12/17/better-dairy/
https://www.opencell.bio/residents/better-dairy