- オリーブオイルと大豆が材料、添加物を使わず、100%リサイクルのダンボールをパッケージに使用
- スペインのバルセロナ拠点でコロナ大流行でも売上げを3倍に伸ばす
- 進出するイタリアでは気候変動の対策で個人の食生活の見直しが進んでいる
イタリア市場に参入するスペインのプラントベース企業
メディア「green queen」によると、スペインのスタートアップ企業「Heura(ヒューラ)」がイタリア市場に参入し、その存在感を広げているということです。
オリーブオイルを使う珍しいプランベース代替肉を製造するHeura(ヒューラ)は、スペインのバルセロナを拠点にしたスタートアップ企業。
コロナ大流行のなかでも売り上げ3倍に伸ばして、勢力を広げています。
2020年10月にイギリス市場に参入を発表し、今回のイタリア市場への参入はそれに続くもの。

急拡大するHeuraはオリーブオイルと大豆を材料にしたプラントベースチキンとビーフを展開。
プラントベースで問題になる添加物を使わず、パッケージをダンボール製にするというクリーンラベルを徹底したブランドが人気を集めています。
参入するイタリア市場では気候変動に危機感を感じている
2020年1月にローマを拠点にする研究所Eurispesはレポート「Italy2020」を発表。
1100人にインタヴューを行い、その統計データよると、少なく見積もってもイタリア人の4分の1が、気候変動は最も緊急の問題として認識しているということです。
特に18~24歳までの若者の34.4%にそのような関心があるとされ、逆に65歳以上が16.1%。
全体としては26%の人が、「消費を減らして、気候変動を改善するために日常習慣を変える準備ができている」とコメントしているそうです。

このような調査結果から、イタリア人が環境に対して悪影響を与える製品を遠ざけ、炭素消費量(温室効果ガスの排出量)が少ない製品を選ぶ傾向が強くなっているという分析がされています。
デンマークでは新しい食事のガイドラインが発表され、カーボンフレンドリーが推奨されています。気候変動に対して、食品の二酸化炭素排出量が少ない食べ物(野菜・果実・豆類)を食べることが推奨。そして、肉製品や乳製品の摂取量を減らすことも内容として含まれています。

このように、ヨーロッパでは気候変動への対策として、個人の食生活を変える試みが広く浸透し始めています。
オリーブオイルで製品を作る唯一の企業Heura
Marc ColomaとBernat Añaños
出典:©Heura
2017年、Marc ColomaとBernat Añañosによって設立されたHeura(ヒューラ)は、ヨーロッパ産の大豆とオリーブオイル、塩、スパイスと使い、プラントベースチキンとビーフを開発。
従来の鶏肉と同等のタンパク質を含みながら、脂肪は3分の1。材料となっている大豆は遺伝子組み換えを使わず、グルテン、コレステロール、着色料、防腐剤を含まない製品を提供しています。

当初の製品パッケージはプラスチック製でしたが、2020年9月にプラスチックの使用を80%削減するため、100%リサイクルのダンボールのパッケージを導入。
年間のプラスチック消費量を12.85t削減したと発表しています。
製品:Original Chunks
材料:水、大豆濃縮物*、オリーブオイル、塩、天然フレーバー、スパイス(パプリカ、コショウ、生姜、ナツメグ、メイス、カルダモン)、B12ビタミン。
*大豆は森林破壊を促進しない作物から生産
料理の方法
最高の風味を得るために調理する前にHeura®を解凍。
黄金色になるまで5分間、少量の油でHeura®を炒めます。シチューにHeura®を使用する場合は、最初に別々に調理してから、最後の材料として追加。あなたが好きなものとそれを組み合わせてください。
栄養成分表示
- 100gあたりの栄養情報
- エネルギー136Kcal(565 kJ)
- 総脂肪3g
- 飽和脂肪0.50g
- 総炭水化物1.80g
- 砂糖0g
- 食物繊維6.40g
- たんぱく質19.70g
- 塩1.37g
コロナ大流行でも伸びて、世界中3000ヵ所で取り扱い
2019年の年間売上は300万㌦(約3.1億円)。2020年のコロナ大流行中に、その売上を3倍の969万㌦(約10億円)にして、急成長を遂げています。
すでに展開している国はポルトガル、アンドラ、フランス、チリ、オランダ、イギリス、そしてイタリア。
アジア市場では、気候変動、食糧不安、公衆衛生という多面的なソーシャルベンチャーの香港企業Green Mondayと提携し、香港とシンガポールに進出。
スペインのメディア「FWS」では、この地域以外にオーストラリアへの進出を計画していると報じられています。
環境配慮=ブランドイメージ
健康に配慮した材料を使った製品と、徹底した環境配慮でブランドイメージを固め、他の市場に参入するスペインのHeura(ヒューラ)。
創立から数年で数カ国に展開できているのは単なる偶然ではなく、その企業の姿勢と製品のこだわりからでしょう。
これから消費者は、さらに製品に付随するストーリー(環境配慮)について注目を集めるようになります。
ブランドイメージが「高級」、「芸能人のあの人が使っていた」という商業的のものから、どれだけ環境に配慮しているかを発信することが、ブランドを確立するキーとなってきます。
拡大を続けるHeuraはその良い事例ではないでしょうか。
参 考
企業HP
https://www.heurafoods.com/en-GB/home
https://greenmonday.org/en/jp/
メディア情報
https://www.greenqueen.com.hk/heura-spains-plant-based-meat-leader-enters-italian-market/
https://vegnews.com/2019/4/vegan-spanish-startup-aims-to-reinvent-the-future-of-chicken
https://www.greenqueen.com.hk/denmark-recommends-carbon-friendly-foods-new-dietary-guidelines/
統計データ・調査データ
http://www.xinhuanet.com/english/2020-01/31/c_138744046.htm