代替たんぱく質

自由にブレンド可能なプラントベースミルクを提供するJOI(ジョイ)

  • アメリカでは41%世帯が植物性ミルクを購入。しかし、既存の植物性ミルクは添加物が多く、低栄養
  • JOIの製品はペースト状、植物性ミルクの濃さを好みで変えることができ、添加物は最低限
  • 常温保存で18カ月の保存可能、使用用途が飲むだけに限定せず、料理や製菓に材料として使用

 

紙パックを捨てた植物性ミルクメーカーJOI

アメリカ、マイアミにある植物性ミルクメーカーJOI(ジョイ)。数ある植物性ミルクのなかで、JOIが提供するものはユニークです。

Organic Almond Base出典:https://addjoi.com/

製品の植物性ミルクの濃さは、自由に変えることができ、添加物を最低限にして、紙パックを使いません

 

製品は「アーモンド」、「オーガニック・アーモンド」、「カシュー」、「カシュー・ヘーゼルナッツ・オーツ麦」を揃え、直接販売を展開中。

非公開ながら、複数の企業へ材料として卸しているということです。

まるで植物性成分で作られた“脱脂粉乳”のようですが、このユニークな製品の仕様は、栄養価使い勝手飲み心地環境配慮を考慮した結果ということです。

 

普及はしているが、水っぽく、添加物が多く、栄養がない

アーモンドミルク

アメリカ非営利団体Good Food Instituteが、2020年3月に公開してしたデータによると、アメリカの全世帯41%植物性ミルクを購入しており、決して「少数」の人々が買う製品でないことを示しています。

加えて、植物性ミルクの総売上は20億ドルを超えており、植物ベースの食品市場全体の40%を占めるということです。

特に売れている植物性ミルクはアーモンドミルク。売上げの65%を占めています。

牛乳の代わりとして市場に出ている製品は主に、アーモンドミルク、オーツ麦ミルク、ココナッツミルク、豆乳などがありますが、そのなかでもアーモンドミルクが飛びぬけています。

 

問題点として植物性ミルクは、もともとの特性が牛乳とは異なるため添加物を使い、見た目を「牛乳っぽく」するために手が加えられています。

植物性ミルク

そのため、味はとても「薄く」、水っぽい飲料となっていて、大部分の栄養は取り除かれています(豆乳を除く)。

この植物性ミルクの抱える欠点解決するためにJOIは設立されました。

 

学生のときからビジネスチャンスがあると判断

2015年、カリフォルニア芸術大学でデザイン戦略MBAの取得をしていた創設者Tony Jimenez(トニー・ヒメネス)は、学生のときから「植物ベースのライフスタイルに移行するための製品」がビジネスチャンスになると判断していたことをメディア「Miami Herald」で語っています。

2016年に設立されたJOI(ジョイ)は、市場に出回っているナッツ植物性ミルクより、さらに持続可能性が高くと食品の自由を求めることを使命にしているということです。

そして、ほとんどのパックに入っている植物性ミルクは必要な成分が2%しか含まれていないことを、消費者は知りませんと自社サイトで指摘しています。

 

また、防腐剤、添加物、充填剤、樹脂が多く使用され、使用済みのパッケージ容器はリサイクルができないという問題に着目。そこでJOIは開発したものは、その逆のものを作りました。

 

 

まるでペンキ缶のような見た目の高栄養価ミルク

独自の製粉プロセスを開発し、常温保存可能な滑らかな植物ベースの“ペースト”を作成。

ナッツミルク出典:https://addjoi.com/

粉にするナッツやアーモンドは栄養保持の面から、基本的にローストせずに、ナッツバターに含まれる粒子よりも小さな粒子にされ、クリーミーなペーストとコメントしています。

 

独自の製粉で粉にされた、ペーストは常温で18カ月の貯蔵寿命があり、通常のミルクの7倍のタンパク質、5倍の繊維が含む高栄養価飲料の1つと評価されました。

パンケーキ出典:https://addjoi.com/

このペーストを好みの量の水と混ぜ合わせて、植物ベースミルクを作ります。製品状態がペーストであるため、飲み物としてだけでなく、ソースやスープ、製菓、デザートに混ぜることができ、料理の材料としても使用可能。

 

1缶で約6.6リットルの植物ベースミルクが作れ、必要な分だけを使用して、長期間保存できる製品となっています。

plant-based-milk出典:https://addjoi.com/

一般的な植物ベースミルクは水と成分の分離を防ぐための添加物が入っていますが、JOIにはそれが添加されていません。

そのため、水にペースト混ぜて時間が経つと分離します。したがって、飲む前使用する前には容器を振らないといけません。

 

製品をペーストにした利点は他にもあり、パッケージを小さくして輸送コストを下げ、水の節約、パッケージをリサイクル可能したとWebサイトでは説明されています。

アメリカ全土の300以上のコーヒーショップ、カフェ、スムージーバーで使用されており、複数の非公開企業がJOIの製品を自社製品の材料として使用されているそうです。

今後はウォルマートとeコマースウェブサイトShopifyと提携して、多くの顧客層にリーチすることを目指すということです。

 

コンパクト、高栄養価、用途が広い製品

一般的な植物ベースミルクの製品仕様をひっくり返したJOIの植物ベースミルク。消費者だけなく、飲食店でも重宝される使い勝手の良さで、魅力的な商品になっています。

植物ベースミルク出典:https://addjoi.com/

プラントベースといえば「代替肉」が話題を呼びますが、以前からスーパーで並んでいる植物性ミルクの在り方も変わりつつあります。

 

スウェーデンの植物性ミルク企業の「Sproud(スプラウド)」はエンドウ豆たんぱく質から高栄養の植物性ミルクを生産。

2021年1月に資金調達480万ポンド(約6.8億円)の調達を発表して、製品の流通拡大を目指しています。

ちなみに会社名の「JOI」はJust One Ingredientの略で、製品への一貫性を表しているということです。

 

参 考

企業HP

https://addjoi.com/

メディア情報

https://cdn.shopify.com/s/files/1/0018/2632/4540/files/JOI_Evergreen_Press_Release.pdf?v=1603216736

https://www.miamiherald.com/news/business/article243635702.html

https://thespoon.tech/joi-provides-plant-based-milk-without-the-carton/#!

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Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎外資系倉庫型小売店▶︎2021年Webライター