持続可能性

脱プラスチックにつながる代替ストロー製品「草ストロー」

プラスチックストロー代わりでプラスチック以外の素材からできている代替ストロー。そのなかに気持ちよくポイ捨てできる代替ストローをご存知ですか?

草の茎からできた「草ストローはもとが自然物であるため、微生物に分解されて自然に還ります。

脱プラスチックが世界的な流れになり代替製品に注目が集まりつつあります。

日本ではレジ袋の有料化が当たり前なりました。次に私たちの身近のプラスチック製品が有料化、もしくは入れ替わるのはストローかもしれません。

プラスチックストロー

今後、代替ストロー製品が当たり前になっていく前に一足先に草ストローを使ってみませんか。

草ストローはアマゾンやオンラインショップから簡単に購入が可能です。

草ストローを扱う合同会社「HAYAMI」の創設者の大久保氏に「草ストローと今後の展望」ついてお聞きしました。

草ストローを使うと…

もし飲み物を飲むときにストローを使う機会があれば、草ストローに入れ替えてみましょう。

代替ストローImage Source:https://hayamistraw.base.ec/

草ストローは紙製の代替ストローより頑丈で、口当たりのよいストローです。

しかも、プラスチックストローを草ストローに置き換えると、世界中で問題視されている海洋プラスチック問題の解決に間接的に関わり、地球環境の負荷の軽減になります。

ストローゴミ

さらに草ストローは脱プラスチックだけでなく、ベトナムの資源活用、雇用確保にもつながっている代替製品

消費者がプラスチック製品の使用を避けるようになれば、それだけ脱プラスチックのスピードが加速していくのではないでしょうか。

実際の草ストローの使い勝手

「草ストロー」を手で持ってみると、とても軽く草の茎とは思えないくらい触った感触はしっかりしています。

草ストローと外箱飲食店名やブランド名が記名できます

しかも、プラスチックストローよりも口当たりがとても良く、ほのかに竹のような良い香りがします。しかし、その香りも飲み物の邪魔をするほど個性の強いものではありません。

草ストローは水分で強度が増す特性をもち、飲み物に入れると最初は水より軽いため少し浮きますが、5分10分すると水分を吸ってカップやグラスの底に着きます。

草ストローと水のボトル60分以上水につけても形はそのまま、水を吸ってほのかレピロニアの香りがにします。

代替ストローで紙製のストローがありますが、紙製ストローは時間が経つと強度が落ちるとされるため、比較すると草ストローのほうが代替ストローとして優れていると言えるでしょう。

しかも、草ストローが水気を含んで飲みやすくなります。さらに元は単なる「草の茎」、使用後も気兼ねなくポイ捨てできます(笑)。

一言で草ストローの感想を表現すると、プラスチックストローと変わりない使用感で、プラスチックストローにはない香りと口当たりの良さがあり、お得感のある代替ストローです。

製品に一定のムラがあるImage Source:https://hayamistraw.base.ec/

工業製品ではないため、ストローの色や太さに多少のムラがあり均等ではありませんが、ストローとして使うのには問題にならないでしょう。

草ストローの材料と原産地

原料となっている植物はカヤツリグサ科の一種レピロニア(Lepironia)という植物。

レピロニア

レピロニアの茎は強度が高く、ベトナムやインドネシアでは代替ストローとして利用されているということです。

日本に輸入される草ストローは無添加、無農薬、保存料不使用の完全自然由来の製品。

衛生面もUV殺菌と熱殺菌を行い、残留農薬検査や微生物検査などの専門検査もパスした製品となっています。

危険な化学物質を使っていないため、使用後に動物のエサにしたというエピソードがあるそうです。

山羊に草ストローをImage Source:https://www.hayamigrassstraw.com/features

原産地はベトナム

草ストローの原料「レピロニア」はもともとカバンやカゴなどの編み物の原料として栽培されていたそうです。

Lepironia bagsImage Source:https://tisvnsustainableproducts.net/chi-tiet-dich-vu/products-made-by-lepironia-articulata/?lang=en

それがレピロニアを使った編み物の販売数の減少。ベトナム・ホーチミン郊外で栽培されていたレピロニアが余剰となり、新しい使い道が検討され草ストローが製品化。

ベトナムの地域農家の雇用にも役立っているそうです。

ベトナムで栽培されるレピロニアImage Source:https://www.hayamigrassstraw.com/

デメリット

デメリットは従来の使い捨てのプラスチックストローに比べて割高。

とはいえ多く代替製品の共通のデメリットといえるのではないでしょうか。

もちろん業務用にまとめ買いをする場合は1本当たりの単価が安くなるそうです。

20センチと13センチの長さの違う2種類のストローが用意されており、用途に合わせて選べます。

小売価格

  • 草ストロー(20cm/20本入り) 400円(税込み)
  • 草ストロー(13cm/20本入り) 280円(税込み)

その他に本数別で販売しており、オンラインショップから購入可能でき、アマゾンでも取り扱いがあります。

日本で草ストローを扱うHAYAMI

HAYAMIImage Source:https://www.hayamigrassstraw.com/

日本で草ストローを取り扱う合同会社「HAYAMI」。創設者は現役の東京農業大学の学生の大久保夏斗氏です。

大久保氏はバックパッカーをしている兄より草ストローのことを聞き、日本への輸入と取扱いを始めたということ。

大久保氏はストローを普段から多用する飲食店に営業を行い、草ストローの導入を広げています。

飲食店で使う草ストロー

「HAYAMI」のWebサイトから全国の草ストローを導入した店舗一覧がご覧いただけます。最寄りに草ストローを採用した店舗があれば利用してみてはいかがでしょうか。

草ストローの口当たりの良さ、草の茎から出来ているとは思えない頑丈さが実感できます。

自然物を利用する草ストローとは違うアプローチで、使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいるスタートアップもあります。

生分解性プラスチックのカラトリー

アメリカの生分解性のカラトリー(スプーンやフォーク、ストロー)を販売するスタートアップ企業Newlight Technologies

生分解性プラスチックのカラトリーImage Source:https://www.restorefoodware.com/

微生物に温室効果ガスを与えてプラスチックに変わる代替素材を製造。使い捨てても自然分解され、温室効果ガスを増やさないストローやフォークを販売しています。

温室効果ガスを吸収した生分解性プラスチック

「AirCarbon」と呼ばれる代替プラスチックは地面に埋めると自然分解され、温室効果ガスを増やさず、海に流れても海洋ゴミにならないとされます。

AirCarbonImage Source:https://www.newlight.com/

Newlight Technologiesは2019年にAirCarbonを商業規模の生産システムを初めて立上げ、2020年に製品化。

AirCarbon生産施設Image Source:https://www.newlight.com/

2020年10月にシリーズF資金調達で4500万㌦を調達しており、AirCarbonの生産量を増やしプラスチック製品と置き換えを目指しています。

AirCarbon製品特徴

海洋微生物にメタンガスなど温暖化の原因となるガスを供給し、微生物からAirCarbon(ポリヒドロキシブチレート:PHB)を生産し、使い捨てプラスチックに代わる材料となります。

生産したPHBを従来の使い捨てプラスチック製品のようにスプーンやフォークの形にして製品化。

ブランド「Restore」を展開し、生分解性のカラトリーやストローを製造、販売しています。金額は24本入りの生分解性ストローがUS2.99㌦(約329円)。

生分解性AirCarbonストローImage Source:https://www.restorefoodware.com/

自然物で製品を作るほうが手っ取り早い

Newlight Technologiesのようにバイオテクノロジーを駆使して、生分解性の新素材で使い捨てストローやフォーク、スプーンを開発するのも1つの選択肢です。

レピロニアImage Source:https://www.hayamigrassstraw.com/

しかし、「草ストロー」のように自然物をうまく利用するほうが効率的と言えるかもしれません。

理由は基礎研究が不要であることや人体の影響、化学物質の自然環境負荷を考えなくてもよいことです。

基礎研究不要

バイオテクノジーを利用した製品は基礎研究が必要で、そのための多額の投資と設備、研究期間が必要です。

しかし、自然物の場合は今ある材料をどうやって加工して製品化するかに注力ができます。

さらに薬品や有害物質を使わないだけで人体に悪影響がなく、自然に対しても悪影響がないことになります。

新開発された素材や技術は、あとになってから「実は有害でした」というのは珍しくありません。

有害物質Photo by Hugo Kruip on Unsplash

自然物の代替製品はムラがある

製品材料を自然物すると必ず出る欠点は完全に均一化できないことです。

自然からできているものは1つとして全く同じものはありません。そのため製品の完全な均一化が困難とされます。

そのため多少のばらつきが製品生じますが、「自然の素材を材料にしているから、ムラやバラつきがあるのは当たり前」と容認する必要があります。

製品に一定のムラがあるImage Source:https://hayamistraw.base.ec/

ポイ捨ては非推奨

最初のほうで”気持ちよくポイ捨てできる”と表現しましたが、ポイ捨てをおすすめしているわけではありません。

もちろん、草ストローは自然物であるためポイ捨てしても微生物や虫が食べ、分解し自然に還るでしょう。堆肥化

そこで使用済みの草ストローをゴミではなく、堆肥にするアイディアを大久保氏は練っているそうです。

使ったあとの草ストローの堆肥化を

草ストローを販売する「HAYAMI」の創設者大久保氏が考える展望は「使い終わった草ストローだけでなく、飲食店から出るゴミも一緒に堆肥化する仕組み」を考えているとコメント。

飲食店から出る毎日の生ごみは一般家庭とは比較にならない量が出ます。それを堆肥化し、ゴミの循環サイクルの構築ができれば、廃棄物問題に役立つ可能性は高いでしょう。

飲食店の生ごみImage Source:Ben KerckxによるPixabayby Photo

海洋プラスチック

国際自然保護連合(IUCN)は毎年3億トン以上のプラスチックが生産され、毎年少なく見積もっても800万トンのプラスチックが海に流れ込んでいると述べています。

海洋プラスチック

海に流れ出たプラスチックは「海洋プラスチック」と呼ばれ、多くはレジ袋やストロー、ペットボトル、製品パッケージ、使い捨てのスプーンなどです。

これらの海洋プラスチックは海に住む海洋生物に大きな影響を与え続けています。

海洋環境への影響

死んだ海鳥から大量のプラスチック片が発見された画像記事、レジ袋をクラゲと間違えて飲み込んでしまうウミガメ、エサと間違えて飲み込んだ稚魚などの事例はいくつもネット上で検索可能です。

プラスチックと海鳥Blandine JOANNICによるPixabayからの画像

ウミガメの鼻からストロー

特に広く拡散されたのはウミガメの鼻の穴にストローが突き刺さった動画「Sea Turtle with Straw up its Nostril – “NO” TO PLASTIC STRAWS」は大きな反響を呼びました。

自然に還るのが大前提の代替ストロー

世界的に導入が求められている脱プラスチックの代替製品。プラスチック問題全体のなかで使い捨てストローの存在は小さいものでしょう。

しかし、目の前の小さい問題を1つずつ解決していくのが多くの人が「できること」です。

植物の茎を使った草ストローは「他の生物に害を与えない代替ストロー」と言い直しができます。

目の前の些細なプラスチックの使用量を減らし、草ストローのような自然に負荷のかからない製品を選んで使うと、全体のプラスチックの使用量の削減につながっていくのではないでしょうか。

草ストローと水のボトル

ストローの起源

ストローの原点は紀元前3500年頃、古代シュメール人がビール飲むときに使用。

当時はろ過技術が未発達でビール醸造し、底に沈殿した不純物を飲まないようにするためにストローが考えられたとされています。

古代シュメール人が考えたストローImage Source:https://www.footprintus.com/news/sustainability/history-of-straws-from-invention-to-regulation/

遺跡からはストローの素材に黄金を使い、装飾を施したストローも発見されており、古代シュメール人にとって嗜好性と実用性を兼ね備えた道具であったとされます。

約5000年以上経ってもストローの役割が変わっていないのは、ストローがそれだけ合理的な道具の証明かもしれません。

参 考

企業HP:HAYAMI

企業HP:Newlight Technologies

国際自然保護連合(IUCN

メディア情報

メディア「dot.LA」Newlight Technologies Turns Pollution into Purses and Plastic

メディア「The Spoon」Shake Shack Is Trialing Biodegradable Cutlery and Straws

参考サイト:人間を救った「マスク」がイルカの命を奪い、地中海を傷つける

国際自然保護連合 Marine plastics

PDFファイル:MARINE PLASTICS(PDF)

参考サイト:History of Straws: From Invention to Regulation

非営利団体:Oceana

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Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで毎日配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボ・アグリテックなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎帰国▶︎外資系倉庫型小売店▶︎パラレルワーカー