- 火山の微生物を使い「Fy」と呼ばれるたんぱく質を作成
- 作られたタンパク質は９つの必須アミノ酸を含む
- 2021年に肉製品や乳製品をリリース予定
微生物発酵でたんぱく質を生成
微生物ベースのタンパク質を作成するスタートアップ企業Nature’s Fynd（ネイチャーズフィンド）が4500億ドルの資金調達を発表。この巨額資金で生産設備充実と製品化の計画を進める。
Nature’s Fyndはアメリカイエローストーン国立公園の地熱温泉に生息する微生物を利用し、「発酵タンパク質」と呼ばれる代替たんぱく質を作成。2021年に製品化を計画している。
出典：Mike GoadによるPixabayから発酵技術が次にフードテックの話題
Nature’s Fyndを含めた「発酵技術」を用いて、代替タンパク質を開発するスタートアップに投資が集中している。
世界最大規模の食品、加工企業ADM（Archer Daniels Midland）の投資部門も、このスタートアップに投資。Nature’s Fyndの発酵技術で作られたタンパク質の可能性の高さに着目している。
代替たんぱく質の市場規模は、植物ベースのタンパク質に限定しても2020年で43億ドル。
2025年には83億ドルになるとMarketsandMarketsのレポートが試算。消費者の関心と購買意欲の高さが数値として出されている。
出典：https://www.marketsandmarkets.com/スタートアップ企業 Nature’s Fynd
このスタートアップ企業は旧名Sustainable Bioproductsという名称で2012年に設立。
NASAが支援した研究から偶然発見された微生物を利用して、代替たんぱく質の開発研究を開始。
アメリカ、イエローストーン国立公園の地熱温泉に生息する極限環境微生物（フザリウム菌株フラボラピス）にグリセリンとデンプンを与えて発酵させ、たんぱく質を作成している。
この発酵タンパク質は9つのアミノ酸をすべて含み、繊維とビタミンが豊富な動物を含まないたんぱく質「Fy」と呼称されている。
出典：https://www.naturesfynd.com/2020年に3月に今の社名Nature’s Fyndに変え、8000万ドルのシリーズBの資金を調達。発酵たんぱく質「Fy」の大規模生産をために35000平方フィート（約10平方ｋｍ）の施設を稼働させている。
12月には4500万ドルをさらに調達。2021年に新しい代替肉や代替乳製品のリリースを予定している。どの市場にどのような製品を投入するかはまだ発表されていない。
出典：MrdidgによるPixabayからGood Food Institute（GFI）が「微生物発酵に関する企業」に2020年だけで15億ドルの投資がされるとレポートしている。
代替肉として植物ベース、培養肉、その次の3つ目の柱として「微生物発酵の代替タンパク質」が注目されている。
アメリカのスタートアップ企業PerfectDayは細菌発酵で動物を含まない乳タンパク質を開発、アイスクリームブランドを立ち上げ、3億ドルという巨額の投資を受けている。
地熱温泉の細菌でタンパク質を生産、タンパク質として破格のクオリティの持つ「Fｙ」。投資企業が次々と資金を投入した結果、どんな製品が作られるのか…来年に市場に出てくる発酵タンパク質ベースの製品が楽しみです。
参 考
https://thespoon.tech/natures-fynd-raises-45m-for-2021-launch-of-its-fermented-protein/
https://thespoon.tech/sustainable-bioproducts-rebrands-raises-80m-for-protein-fermentation-tech/
https://agfundernews.com/why-did-global-food-giant-adm-invest-in-volcanic-microbes.html
https://www.gfi.org/alternative-protein-fermentation-investments-2020-media-release
https://www.crunchbase.com/organization/sustainable-bioproducts/signals_and_news
