代替たんぱく質

食品着色料の市場を揺るがすChromologicsの発酵ベース着色料

クロモレッド
  • 発酵技術と野生の糸状菌から赤色の食品着色料「クロモレッド(ChromoRed)」を開発
  • 野生に存在する菌が作られているため、ビーガンやユダヤ教の食べ物に関する規律「コーシャ」を適合。
  • 食品の着色料の市場価格は数十億ドル

 

食品着色料は20億㌦市場

デンマークのスタートアップ企業Chromologics(クロモロジクス)は高性能着色料を開発。この企業の着色料が食品着色料の市場に大変革をもたらす可能性があります。

従来の着色料は昆虫や植物から抽出するものが主流となっています。

ですが、Chromologicsは、発酵技術と野生の糸状菌を利用して、安定的に着色料を供給できるプラットフォーム開発。

材料となっている作物の価格や、気候変動の変化を受けることなく、持続可能性に優れた次世代の「着色料」が市場にまもなく出てきます。

 

食品着色料の市場価格は数十億ドルといわれ、Chromologicsがリリースしようとしている微生物発酵ベースの着色料が参入したら、その影響は大きいでしょう。

 

食品着色料

各色の着色料

食品添加物の1つである着色料は、日本では食品衛生法で添加量に応じて、毒性試験発がん性試験変異原性試験(染色体へ損傷が短期間で検出されるか)の試験で審査され、厚生労働省から承認されます。

 

世界各国でも安全性のテストがされており、国によって基準は異なるものの着色料には一定の基準があります。特に問題となるのは、着色料の原料です。

自然由来(ニンジンの色素のオレンジ色など)の色は、規制当局の認証を必要としない場合がありますが、それが動物性(昆虫を含む)となると話は別です。

ニンジンの色素のオレンジ色

着色料「カーマイン」

コチニールとも呼ばれる食品着色料、鮮やかな赤色をした着色料の原料はカイガラムシ

サボテンに寄生する小さな虫を粉末にして、アンモニウムまたは、炭酸ナトリウムで煮出す。そして、ミョウバンで抽出物を処理して、赤色の色素を固定します。

 

アメリカでは重度のアレルギーを引き超す可能性があり、食品に使用した場合は明示が義務付けられています。EUでも同じようにアレルギーの可能性が指摘されていました。

加えて、昆虫とはいえ動物由来という扱いになっているため、ヴィーガンフードへの添加はできず、一部の宗教的な制限も関わる添加物となっています。

 

そして、この着色料へ一番拒否感を出しているのは、消費者です。この着色料はストロベリーヨーグルトやアイスクリームに使用されます。

消費者は製品のピンク色イチゴの色素だと思っていたものが、実は虫だった…という衝撃があり、「カーマイン」については否定的です

虫の色素

 

デンマーク工科大学の研究からスピンオフをしたChromologics

クロモレッド出典:https://www.chromologics.com/

2017年にChromologics(クロモロジクス)はデンマーク工科大学の研究から事業化する形で設立。

バイオテクノロジーで着色料を作成し、次世代型ともいうべき微生物発酵ベースの着色料「クロモレッド(ChromoRed)」を開発しました。

 

クロモレッドは使用可能なpHの値が広く(酸っぱい食品、苦い食品にも使用可能)、高温処理にも対応可能。

現行の赤色の着色料「カーマイン」「ベタニン(ビーツを原料にした着色料)」にとって代わるものとして広めるということがWebサイトで述べられています。

ビート出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%88

Chromologics のWebサイトによると、着色料を作成には遺伝子組み換えをしていない真菌のバイオテクノロジー・プラットフォームを開発したとあります。使用している菌も野生の糸状菌ということです(菌名は非公開)。

 

つまり、Chromologicsのプラットフォームでは遺伝子組み換えなどを行う遺伝子工学が使用されていないことを意味します。

そして、それはスケールアップが可能で、価格が市場で競争力があるものとされています。

 

使用している菌が野生に存在する菌であるなら、ビーガンやユダヤ教の食べ物に関する規律「コーシャ」を適合させることができます。

2020年5月に、スタートアップの立ち上げを支援するするプログラム「Business Acceleration Academy」の3ヵ月集中プログラムで、BII Acceleration Awardを受賞

この内容でも「赤色」の着色料から始めて、持続可能性のある天然着色料の生産を進めることが述べられています。

次世代型着色料

2020年9月には190万ユーロ(約2.4憶円)のシードラウンドの資金調達を行い、多くの投資家から支持を集めました。

シードラウンドはNovo Seedsが主導し、Nordic FoodTech VCVækstfondengが支援をしています。

この資金を使い、開発した次世代型着色料「クロモレッド」を、規制当局が承認を加速させるだろうとメディア「FINSMES」では語られています。

 

遺伝子工学使わない微生物発酵

遺伝子工学使わない

近年、発展が凄まじい遺伝子工学で、新しい素材、材料が開発されていますが、食品としての安全性に関しては常に懸念が残ります。

Impossible foodsのヘムも、規制当局に食品添加の承認は得ていますが、長期的な人体への影響は不確定です。

新しく作りだされた物がどういった物かを判断するには時間と検証が必要になります。

そこに、あえて遺伝子工学を含まない方法で着色料を開発したChromologics

野生菌を利用して作りだしている着色料は、大きな規制の対象とはならない可能性が高く、“野生菌発酵ベース”食品着色料が、世界を一新する可能性があります。

特に細菌を利用したプラットフォームの特徴は、その生産に掛かる時間の短さ

 

キノコの根を利用した菌糸体ベースのベーコンを開発したAtlastは、菌が製品になるまでの栽培期間を10日間と述べています。

 

植物や動物を原料とした製品では、この菌類特有の生産スピードには追いつけません。

これからも食品加工、生産の分野で必需品ともいえる「着色料」。

原料の価格や気候に左右されることなく、安定的に生産される持続可能な次世代型の着色料クロモレッド」の開発が進んでいます。

 

参 考

企業HP

https://www.chromologics.com/

メディア情報

https://www.greenqueen.com.hk/chromologics-startup-disrupts-us2b-food-colourant-market-with-animal-free-fermentation-based-solution/

https://www.finsmes.com/2020/09/chromologics-raises-e1-9m-in-seed-funding.html?utm_source=feedburner&utm_medium=twitter&utm_campaign=Feed%3A+finsmes%2FcNHu+%28FinSMEs%29

https://bii.dk/news/chromologics-wins-the-bii-acceleration-award/

https://www.toyo-chem.com/ja/products/natural/liofleshcolor/classification.html

Chromologicsインタヴュー

着色料:カーマインについて

着色料:ベタニンについて

 

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Junichi
新しい「食に関する常識」フードテックをわかりやすく要約記事にして配信。twitterで箇条書きで毎日配信 取扱うジャンル: ゴーストキッチン・代替タンパク・キッチンロボ・アグリテックなど 経歴: 大手二輪中古販売店でバイク整備士▶︎ANAの傘下の国際物流部門で貿易業務▶︎日本橋で寿司職人▶︎カナダで海運業務▶︎帰国▶︎外資系倉庫型小売店▶︎パラレルワーカー